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弦のゲージについての考察

teshimaです。

最近、Ernie ballがこんなページを出していることを知りました。

What String Gauges Should You Be Playing?

記事が書かれたのは2016年ということで、既に大分経っている訳ですが、どんなスケール・チューニングならどの弦を使うのがいいのか、ということが書かれています。
以前弦について書いた記事で紹介した考察ページのように厳密に張力を数字で計算したものではないみたいですが、ゲージを変える際には大分参考になりそうです。

記事の最後にはまとめ表もあり、分かりやすいですね。

興味深いのは、表の中で25.5インチ(648mm)スケールのギターでもNormal Tensionは10-46のゲージだと書いてあるところでしょうか。別段絶対的なルールがあるわけではないですが、648mmだと09-42、628mmだと10-46が一般的かと思っていました。
ただ、例えばSuhrは現在はほぼ全て10-46が標準となっていますし、Music manもJP 6Majestyなどの新し目のギターはファクトリーセッティングでは10-46が張られています。現在の流行としてはロングスケールにも10-46、ということなのかもしれませんね。

考えてみれば自分も09-42を張っているギターは少ないかもしれません。。。

なかなか興味深い記事でした。


さて、最近は専らenigmatic blueのアルバムに取り掛かっています。時間があるとどうしても作業がルーズになってしまうのは良くないのですが、なるべくうまく時間を配分しながら使って満足のいくものを作ろうとしています。
ここら辺は備忘録も兼ねて、制作が終わったら記事にまとめるかもしれません。

平成最後のM3は4月28日の東京流通センター、enigmatic blue第2展示場1階のう-02bでお待ちしています。
よろしくお願いします!

teshima

RBX-775のトラスロッド調整と電池について

teshimaです。

最近、ちょっとベースのセッティングを詰めていたのですが、その中でRBXのトラスロッドをいじる機会がありました。
調べても記事が出てこないので記録として書き留めておこうと思います。

トラスロッドをいじるといっても、ネックがほんの少し順反りだったのを(しかも大した順反りでもないですが)、少し直したかっただけなのですが、RBXのヘッドをみると、通常よくあるトラスロッドも、トラスロッドカバーもありません。

IMG_rbx1_head.jpg

それ自体はなくはない話なのですが、トラスロッドの位置を調べようとヤマハのサイトを検索すると、古い型のベースだからか、商品のページもなければマニュアルも存在しません。
唯一検索で見つかるのはエレキベース用の一般的なマニュアルのPDFファイルのみで、そこの中を見てもトラスロッドについては「トラスロッドの調整方法がわからない場合は、お買い上げのお店へお申し出ください。」とだけ記載があるだけで、どこにトラスロッドがあるのかは何も書いてありません。

こういうとき、専用のマニュアルを作成してPDFだけでもサイトに残しておいてくれれば。。。と思ってしまいます。

最悪、ネックを外しての面倒な調整も覚悟しつつ、今まで気になりながらもスルーしてきたネックの接合部ののここの部分が怪しいのでそこを外してみることにしました。

IMG_rbx2_joint.jpg

すると。。。。ビンゴです。

IMG_rbx3_joint2.jpg

ここにトラスロッドがありました。

IMG_rbx4_rod.jpg

このカバー、単なるサイバーなイメージづけのためだけのパーツなのかと思っていましたが、要はネックエンドのトラスロッドカバーだったということがわかりました。
RBX自体はもう6年以上持っていたのに初めてこの事実に気がつきました(笑)

というわけで、「RBX774あるいはRBX775のトラスロッドを調整するためには、ネック接合部にあるカバーを外すことでトラスロッドが現れる」ということがわかりました。


、、、ところで。
今回諸々あってベースの環境を見直していたところだったのですが、その中でトラスロッドの件以上に驚いたことが一つありました。
ベース本体の電池です。

RBXはアクティブサーキットで、9V電池を使用して音を出しています。
去年の秋にたまたま楽器屋に寄った時にDuracellの楽器用9V電池が安かったのでそれを買って入れていたのですが、アルバム用の曲作りでデモ用にベースを入れていた時に、どうしても音がへたっているような気がしてベースやシールドやプリアンプの設定などをあれこれいじってみました。
が、どうにも以前のような感じの音が出ない。。。楽器も劣化していくものなのか。。。と悩んでいたところで、ふとベースの音がプツプツと途切れることに気がつきました。
乾電池を変えた際に、サイズが若干小さくなってしまったことで微妙なスキマができてしまい、接触が不安定になっていたのですが、ふとこれは接触の問題ではなくて乾電池そのものが問題なのでは?と思い、コンビニで一般的な9V電池を購入して交換してみました。

これが大当たりでした。換えてみると接触が途切れることもなく、出力も以前と同じ太さの音になり、何もかも安定して音が出るようになりました。楽器店で売っていたものだから、という先入観で買ったDuracellの電池でしたが、
1) 一般的な9V電池に比べて数mmではあるが長さが短いため、ベースやアコギなどのように電池ボックス内に収まる設計になっている場合には遊びが生じてしまい、接触が途切れることがある(RBXの場合、ヘッドを下に傾けると接触が切れて音が出なくなりました)。
2) 接続している時も、出力が安定していて音が太い。
という大きな違いがありました。もちろんどちらもアルカリ電池です。

「音が太い」というのが主観でないことを示すために、レコーディングしたベースのフレーズの波形をみてみたいと思います。

こちらがDuracellの電池で弾いたフレーズ。
SS Duracell wav

こちらが一般の9V電池で弾いたフレーズです。
SS Panasonic wav

参考のために、GIFアニメにしてみました。より違いがわかりやすいかと思います。
190128 battery Duracell Panasonic comparison

当たり前ですが、弾いているプレイヤー(自分です)も、弾いているフレーズも、ベースの設定も、プリアンプの設定も、弦もシールドも全く同じです。
これだけ波形の大きさが違います。「音が太くなった気がする」というのが単なる気のせいではないというのが分かるかと思います。

Duracellも、日本の楽器プレイヤーの間ではあのエリック・ジョンソンが使用していることで知られていますが、決して粗悪な電池というわけではないです(海外では楽器用に限らず一番流通している電池だと思います)。楽器本体ではなく、9V用のコネクターがついているエフェクターなどでは、安定して使用できるのかもしれません。

いずれにせよ、「楽器用」という名前だけで安易に盲信せず、きちんと音を聞いてあっているかどうかを判断することが大事なのだと再確認しました。

久しぶりに書いた記事がベースのことでちょっとアレでしたが、RBX-775についての記事でした。

teshima

RGA321のPU交換

teshimaです。

先日、思い切ってRGAのPU交換を依頼してきました。
無事返ってきたので、そのことを書きたいと思います。

RGA321については以前の記事をまず読んでみて下さい。
Ibanez RGA321

そもそも、RGAを弾いた時に、気になったのはそのPUの相性の合わなさでした。
一言で言って、かなりローゲイン。せっかくのフィクスドブリッジだからダウンチューニングしてリフをザクザクと弾きたいものですが、そういったイメージとは真逆で全然歪まない印象。。。
ローゲインPUの方が音が潰れずにクリアな音が出せるというセオリーはありますが、そういう感じの音ではなく、濁って前に出てこないか細い音。。。という感じでした。
また、アクティブコントロールのトーンもイマイチ使いどころが見当たらず、通常のトーンかあるいはいっそトーンなしでも全然いいのでは、と思うぐらいには使いづらかったです。
(しかもなぜか定番の9V電池ではなく単三電池2本の3V電池。。。謎でした)

ただRGAはダウンチューニング用と割り切っていたため、そんなに出番は多くなかったのでストレスはなかったのですが、思うところあって、PU交換に踏み切ってみることにしました。

交換をお願いしたのは、DNSギターというところです。
交換内容としては、
1) PU交換(オリジナルのものをDiMarzioのSteve's SpecialとAir Nortonに交換)
2) トーンをアクティブ回路ではなくパッシブの、センタークリックがないものに交換
3) PUセレクターを3wayから通常の5wayに交換し、2、3、4、のポジションの時にパラレルのTAP配線にする
の3点でした。
このうち、3)だけは自分が希望する回路の配線図が見つからず、3のときはパラレルではなくて内側の二つコイルのシリーズになる回路でしたが、これはこれでありと思い、依頼しました。
回路図を探すために時間はかかりましたが、作業を正式に依頼してからは3時間ほどで完了の連絡がきました。
早すぎてビックリしました笑


諸々の都合で受け取りまでまた少し間が開きましたが、先日無事に受け取りできました。
こちらが交換後の様子。

RGA PU

弾いてみた感想ですが、思った通りにザクザクとしたヘヴィな音になってくれて大満足でした!
Steve's SpecialとAir NortonはIbanez時代のJohn Petrucciの組み合わせですが、今でもいい音をしてくれる組み合わせだなと思いました。
Air Nortonは色々事情があって長らく使用していなかったのですが、温かみがあってこれぞフロントPU!という感じの音でした。
また、今回はフロントのネック側のコイルと、リアのブリッジ側のコイルをパラレルにつないだ、いわゆるテレキャス配線が使えるのですが、これでシングルコイルサウンドにもバリエーションが出て、非常に良かったです。
ダウンチューニングで使用するというこのギターの性格を考えると、あんまり使う場面はなさそうですが、、、。使いづらかった以前の配線よりはずっとずっといいです。



と、手放しで喜んできましたが、一つだけ見落としていた点がありました。

ここです。

RGA PU center

リアPUの幅を間違えました。。。

リアPUにはFスペースとノーマルスペースがあるということはよく知られていますが(ダンカンの場合はトレムバッカーといいます)、RGAはトレモロではないので、今回はノーマルスペースのPUを探してきてお願いをしました。
(DNSギターさんが間違えたわけではありません!!)

ですが、結果的に、どうもこのブリッジはトレモロと同じ幅でデザインされていたようで、写真で分かるように1弦あたりのホールピースと弦が合っていません。フィクスドブリッジですが、どうもFスペースのPUが必要だったようです。
これはかなりトラップでした。調べれば情報が出てきたのかもしれませんが、完全に盲点でした。

とはいえ、Steve's specialの出力が高いこともあって全然問題なく弦振動を拾えているので、大きな問題ではなさそうです。

というわけで、PU交換したRGA321のお話でした。

teshima

tc electronic NOVA Repeater

teshimaです。

今更なネタですが、そういえばまだ書いていなかったのでtcのNOVA Repeaterについて書きたいと思います。
もう生産も完了している商品なので自分用のメモのようなものです。

TC Electronic | Nova Repeater

Nova Repeater、シンプルでとても使いやすく、それでいてクリアなディレイです。
とまあそう書くとありきたりな広告みたいですが、本当にその通りです。

NOVARepeaterPedal

NOVARepeaterBox

具体的に一番いい点としては、ON/OFFとタップテンポの2つのスイッチがあることでしょうか。
ディレイのON/OFFを切り替える、ディレイタイムを変更するというのをそれぞれフットスイッチでコントロールできるのはとっても使いやすいです。
例えばBOSSのDD-6なんかもスイッチ長押しでタップテンポを設定できますが、スイッチを長押しをしないとタップテンポモードに移行しないため、曲中で変更したりするのは実質的には不可能です。
(また、DD-6はタップテンポを設定すると自動的にディレイがONになる仕様)

NOVA Repeaterはその点ON/OFFとタップが独立しているので、曲中でロングディレイ→ショートディレイ→ロングディレイというように切り替えることも簡単にできます。

また、OUTがステレオなので、やろうと思えばジョン・ペトルーシみたいにピンポンディレイをLRで振り分けることもできます(実際にはアンプがないのでやりませんが。。。)。

モード切り替えも地味ですがありがたいポイントです。
通常はクリアでパリッとしたデジタルディレイを使っていますが(本当に鏡写しみたいにクリアなディレイ!)、歌モノのバックやオールドなロックなどでディレイを馴染ませたい場合にはアナログモード、テープモードを使ったりしています。
昔はデジタルディレイ最高!音質劣化は不要!とか思ってたんですが、楽曲やジャンルによっては適度にハイが丸くなってくれた方が聞きやすいものもあると思います。
他にはモジュレーション機能といって、ディレイ音だけにモジュレーションをかけるというツマミもあります。NOVA Delay(現行の上位機種)にはないツマミですが、これはそんなに使わないですかね。。。

SPILL OVERスイッチは、ディレイをオフにしたときにディレイ音がすぐに消えるか、始まったディレイ音はキープするかを切り替えるスイッチです。急に消えると変なので、自然な余韻を残すためにこれは常にONにしてます。
KILL DRYスイッチは、要注意なスイッチで、これをONにするとディレイ音のみが出て、原音はミュートされます。これはアンプのSEND/RETURNなどで使用する場合には使いやすい機能の様ですが、うっかり踏むと原音が出なくなるので気をつけたいところです。。。

ところで、NOVAシリーズの中だけでもNOVA RepeaterとNOVA Delayと二つ機種があるように、tcはやはりディレイものには気合いを入れるんでしょうか。おそらく、TC 2290で一世を風靡した自負からディレイに力を入れるんだと思うんですが、NOVA Repeaterはシンプルだし是非ラインナップには残しておいて欲しかったのですが。。。現在では中古市場でのみ手に入るようです。

現行のFLASHBACKやAlter Egoなんかもハイクオリティだとは思いますが、スイッチが二つという点ではやはりNOVA Repeaterの方が今だに使いやすいですね。サイズが大きい分、現在の、エフェクターをとにかくコンパクトにするという流れには反しているかもしれませんが、それでも今後も長く使い続けていきたいディレイペダルだと思います。

teshima

t.c. spark mini booster

teshimaです。

今回はt.c.のspark mini boosterについて書きたいと思います。
一言で言って、これは全てのギタリスト必携の一品だと思います。


spark miniですが、これはクリーンブースターです。
まず最初に書いておきたいんですが、「ブースター」ってすごく謎の存在だと思いませんか?
雑誌を開くと、色んなギタリストの機材の中に、TS-9とかOD-1とかをアンプの前段に置いておいて「ブースター的に使用している」という説明書きが付いているのを何度も見た事がありますが、「ブースター的」という説明がありながら「ブースター」そのものを中々見ないですよね。
spark miniは正真正銘、その「ブースター」そのものです。
もしかしたら理想のブースターと言ってもいいかもしれません。

というのも、「音質には一切手を加えず、信号のレベルだけを純粋に持ち上げる」という役割をするからです。
以前は自分もTS-9などのオーバードライブ系のペダルをブースターとしてアンプの前段に使っていましたが、エフェクターを使用している以上どんなにDRIVEつまみを0にしても、音色に若干の色合いがつくのは避けられない事象でした。
(もっとも、その変化を好んで使用する人も多いわけですが。。。)

spark miniに関しては、完全に音量だけを持ち上げてくれます。余計な色付け、ではなくて色付けそのものが一切ありません。
mini版ではないspark boosterの方には、TREBLEとBASSツマミがついていたり、GAINとLEVELと二つのつまみでブースト量を調整できたりするようですが、言ってしまえばそれは一般のオーバードライブ系ペダルでできる事ですので、余計、あるいは邪魔と言わざるを得ません。
純粋にブースト量だけをコントロールするツマミが1つついているだけ。これぞまさに色んなペダルを「ブースター的」に使用していた人たちが求めていた、「的、ではない」ブースターそのものではないでしょうか。


また、音色に手を加えずにレベルだけを持ち上げてくれるため、アンプの前段だけでなく、SEND/RETURNに入れて音量だけをブーストする使い方もできます。MESA Boogieの一部のアンプには、ソロ時にレベルを持ち上げてくれるスイッチがありますが、spark miniをループで使用すれば同じ事がどのアンプでも再現できます。
コンパクト派だけでなく、マルチ/ラックユーザーでも使用したい場面は以外と多いんじゃないでしょうか。

実際、自分は去年11月のライブ時に、PAがないライブハウスでレベル調整をするためにプリアンプの後段に入れて使用していました。こういった場面でも非常に役立ってくれる便利な1台だと思います。


spark mini booster、オススメの1台です。

teshima

tc electronic Ditto Looper

teshimaです。

今回はtc electronicのDitto Looperについて書きたいと思います。

15354724540.jpeg


読んで字のごとく、ルーパーです。最大5分までの演奏をループとして記録し、再生することができます。

実は、これを入手するまではルーパーというのは便利だけど苦手な存在だったのです。何らかのコード進行をずっとループして再生してくれるのはとても良いのですが、今まで見てきたルーパーは全てディレイの付属機能として存在するルーパーだったため、「ダブルタップで録音開始、ダブルタップで録音終了」というように、ループの始点と終点の設定が、リズムが取りづらいダブルタップのことが多かったからです。
些細なことかと思われるかもしれませんが、このダブルタップのためにループの始点・終点がほんの若干ズレが発生しやすいがために、綺麗なループというのを作るのが難しかったのです。
ルーパーの本来の旨味というのは、ループをさくっと作ってその上でソロやらアドリブやら弾いてネタ出しをしたり、あるいはコードを弾いて1人でジャズを弾いたり、というのがエフェクター一つで出来るという点にあると思うのですが、これまではそのループを綺麗に作るのが難しかったため、どうしても苦手意識がつきまとってしまっていました。

その点、このDitto Looperは本当に優秀だと思います。
ルーパーとしての最低限の機能だけを残して、他の機能は軒並み削除されています。ですが、それが逆に使いやすさにつながっています。


個人的な良い点を書き連ねてみたいと思います。

1) 録音の開始・終了がシングルタップ
まずはこれが非常に大きいです。シングルタップのルーパーだと、ループの作成が非常に簡単かつ正確にできます。ディレイのタップテンポはタップの1回と1回の間隔が1拍の長さとして認識されるわけで、それと同じように一つのループの始点と終点がシングルタップで決定されるのは、非常に分かりやすくて気持ちいいというか、何で今までダブルタップに苦しんできたのだろうと頭を抱えるぐらいです。

2) 出来ることが少ないので、使いこなすまで時間がかからない
今までも似たようなことを書いてきたことがありますが、自分は必ずしも多機能=良いとは限らないと思っています。Ditto Looperもその一つで、操作できるのはボタン1つとノブ1つだけ、しかもノブはループの音量を決めるだけのためのノブです。ボタンの操作によってループの開始・終了、再生などを決めるのですが、これもそんなに選択肢がないため、すぐに覚えることができるでしょう。多すぎる選択肢や操作系というのは、時として邪魔になるものなのです。
公式ページの一文がこれをよく表しています。
「ループの上限は5分と、実用的なメモリーを確保しています。10時間の録音は行えませんが、10時間の曲を演奏するのはプレイヤーにとっても観客にとっても厳しいものです。
そう、10時間のループを実際に使い切れる人は世界中を探しても片手で数えるほどもいないでしょう。どのぐらいのループが記録できるか、というのは長ければ良いというものでもないのです。

3) ループは消去しない限りは電源を抜いても消えない
些細なことですが、電源を抜いてもループが残っているというのは使いやすいポイントです。電源をつないで、ボタン一つでいつでもループを呼び出せるわけですから、一つの良いループが録れたらそれを長く使いまわせます。ループを作ること自体も簡単なのに、そのループも長く使える、非常に便利です。


非常にかゆいところに手が届く設計となっているルーパーです。


「多機能であることが善とは限らない」という点についてですが、過去にもギターのコントロール系などでも似たようなことを書いてきました。

Suhr Modernについて(3)電装系その他

一見、何かが出来ないよりは何かができた方が良いというのは正しいように思えてしまうのですが、時と場合によってはでき「すぎる」ことが煩雑になることもあると思います。ルーパーの例でいうと、10時間のループ時間は正直あっても無駄ですし、例えばループを複数保存することができたとして、今度はそれを保存・呼び出しするための操作が必要になります。ボタンが1つしかなく、シングルタップ・ダブルタップはすでにループを操作するための機能に割り当てられていますから、ループの保存や呼び出しはトリプルタップ、、、?あるいは別個にボタンをつける。。。?
ギターのコントロールも同じと言えると思います。ボリュームやトーンに加えて、5点PUセレクターがあって、その上さらにキルスイッチ、ブーストボタン、Push/PullによるPUスプリット、、、、。どれも聞こえは良いですが、一つ操作系が増えるごとに、それだけ切り替えの時間はかかります。スタジオのレコーディング中にクリーンから歪みを切り替えるためにアンプから全部セッティングし直すような時間があるならともかく、そうでない場合には多すぎる選択肢は時として煩雑、あるいは邪魔なだけになり得るのです。


機能としてはルーパー以外何の用途も持たないDitto Looperですが、ループを作成してアドリブを弾いたりする以外にも、ハーモニクスの単音(あるいはコード)をごく短いループで鳴らし続けることで即席シンセとして鳴らしたり(要はEric JohnsonのCliffs of Doverのライブイントロみたいなやつですね)、あるいは作曲をしているときにそこまででできているコード進行をルーパーに入れることでメロディを捻り出したりと、使い方は色々できると思います。
それでいてこの小ささと軽さ、そして安さですから、特に使わなくても1個持っておいて損はないと思います。

Ditto Looper、オススメです。

teshima

パワーアンプでの違いについて

teshimaです。

今回はパワーアンプでの歪み方ということについて書いてみたいと思います。

アンプにおいて、歪みなどの基本的な音作りは大部分プリアンプ部分で行われて、パワーアンプはそれをスピーカーで鳴らせる音量まで持ち上げるだけ、というのが基本的な構造になっています。
ではパワーアンプは全く音作りに関係していないのかというとそうでもなく、プリアンプほどではないにせよ音作りにも密かに関わっている部分であるというのはよく言われます。

今回は、TRIAXISのテストを経て、「MESA BoogieのプリアンプはMESA Boogieのパワーアンプと組み合わせないと進化を発揮しない」というウワサについて気になったので、TRIAXISをスタジオに持ち込んでテストしてみました。


使用した機材は以下のとおりです。

ギター:Suhr Modern Custom Trans Blue
プリアンプ:MESA Boogie TRIAXIS
パワーアンプ:MESA Boogie Dual Rectifier/Marshall JVM210H

単純にパワーアンプのことについてテストするので、エフェクトやペダルは一切なしです。
また特性についてテストするため、音量はなるべく一緒、PRESENCEなどのパワーアンプ側の積極的な音作りは一切なしという条件でテストをしてみました。

結論としては、少しですが音の感触が違いました。
MESA Boogie:低域と中高域がパリッとハリがあって明るい印象
Marshall:中低域が強く、締まった印象

もちろんそれぞれ1台ずつしかテストしていないわけで、これだけで全てを結論付けるのは早計ですが、傾向としてはこういう傾向がありました。
歪みのゲイン量という部分に関しては、どちらもそこそこ納得の行く感じになりました。キャビネットを通すから違って聞こえるのか、パワーアンプに通したことでゲインがプラスされているのか、詳細は分かりませんが、期待外れというライン取りの印象とはかなり異なりハイゲインな音を出してくれました。
スタジオ内でRec OUTとアンプの音を比較し忘れたのがやや残念です。

この日は時間的な制約もあり他のパワーアンプは試せませんでしたが、以前一度だけ「パワーアンプでここまで違うのか!」と驚いた記憶があるDiezelのパワーアンプでも試してみたいところです。

TRIAXISの運用については、しばらく考えてみたいと思います。

teshima

MESA Boogie TRIAXIS

teshimaです。

最近ブログ書くネタがなかったので久しぶりの更新です。
今回はMESA Boogie TRIAXISについてです。

TRIAXISといえば、John PetrucciやJames Hettfield/Kirk Hammett、DAITAなどのハイゲイン系ギタリストが好んで使用していることで知られるハイスペックなラックプリアンプです。MESAの歴代のアンプ全てを格納していると言っても過言ではない音作りの幅の広さが特徴です。

自分のところではキャビネットを鳴らす環境がないので、スピーカーシミュレーターを通したRec OUTからオーディオI/Fに直接接続して使用してみました。

結果ですが。。。思った以上にゲインが弱く、思っていた音とは程遠い印象でした。
個人的にはMESA Boogieといえば、密度の濃い、目の細かい整った歪みをイメージしていたのですが、クランチ〜オーバードライブ程度の歪みしか出ず、期待はずれといったところでした。
内部の回路が何か故障してるのか。。。ちょっと不明です。

もう少し時間をかけてチェックしてみたいと思います。

teshima

ギターのスケール(長さ)について

teshimaです。

ギターにおいて、その音色や弾き心地を決定付ける要素っていろいろあると思うのですが、比較的見落とされがちな要素としてスケール(長さ)というのがあると思います。ということをつらつらと書いてみたいと思います。

ギターの音色や弾き心地というのはいろいろなものに左右されます。音色にはPU、ボディ材、セレクターの位置、トレモロの有無、エフェクターやアンプなど様々な要因が絡みます。弾き心地にはネック形状&フィニッシュ、ギター総重量、トレモロかフィクスドブリッジか、コントロールのレイアウト、はたまたカラーリングなどの見た目など。。。
ここで、両方ともに大きく影響するのがスケールです。

よく、スケールは長い方が音にハリが出る一方、長すぎるとストレッチフレーズや難解なコードなどで苦労すると言われます。音色とプレイアビリティのバランスが求められるという言い方をしてもいいかもしれません。
一般的には648mm(25.5インチ)のロングスケールと628mm(24.75)インチのミディアムスケールがよく知られていますが、音を求めてかロングスケールを採用しているギターが基本的には多いと思います。

また、最近は666mm(26.25インチ)や686mm(27インチ)などのエクストラロングスケールも広まりつつある上に、strandbergなどに見られるようなファンフレットも広がってきました。スケールに対する選択肢が広がってきたと言って良いでしょう。

その一方で、楽器店のサイトやネットオークションを見ていると、
「○○という木材をふんだんに使って。。。」
「現在ではほぼ取れない希少な◎◎を使ったネックが。。。」
など木材の事ばかりを書いていたりすることがほとんどです。
エクストラロングスケールのギターなどはさすがに見た目にも異質なので説明文で触れてあることが多いですが、ロングスケールかミディアムスケールかはほとんど記述を見かけません。

もちろん、ボディ材やネック材も大事です。
音に大いに関係すると言われますし(諸説アリ)、PUなどは交換ができますがボディ材・ネック材は交換できません。ですから気にする人が多いのも納得です。

ですが、スケールはどうでしょうか。
スルーネック・セットネックであればスケールを変更するのは不可能です。
ボルトオンネックであれば、ネックを付け替えることでスケールを替えることは理論上可能ですが、ネックの接着面の形状、ネジの位置、ネックの幅など様々な要素が噛み合っていないとうまくいかず、実質的には無理に近いというのが正直なところです。
(というか、可能ではありますがそこまでしてスケールを変更するなら新しいギターを買う方がよっぽど早く、楽。)

そして先に書いたように、スケールは音色にもプレイアビリティにも直結します。
実質的には変更不可で、音色にも弾き心地にも影響する。。。とても大きな要素ではないかと思います。


以前Ibanezの9弦(RG9QM)を弾いてみたことがありましたが、そのメタルに特化した見た目とは裏腹に、クリーントーンがとてもきらびやかな印象でした。28インチのエクストラロングスケールの影響だと思っています(ただ、ストレッチフレーズはかなり弾きづらく、リフなども少し手を余計開く印象がありました)。
また、ベースにおいても5弦・6弦ベースのローBは輪郭がない、ボヨンボヨンするなどと不評なことが多いですが、自分が持っているYAMAHA RBX775(スケール35インチ)はそんなことはありません。

やはりスケールというのは音色にもプレイアビリティにも直結する大きな要素である、と再認識した次第でした。


もっとスケールの重要性というものが広く認識されてほしいものだなと思います。

teshima

ローステッドメイプル

teshimaです。

突然ですが、最近ローステッドメイプル、あるいはローステッド加工された木材がギター業界に広まりつつあるように思います。

ローステッドメイプルについてはSuhr Modernの記事を書いたときに色々と書きましたが、加熱処理をすることで余計な水分を抜き、耐久性を高めたメイプルのことです。
Suhrでは割とポピュラーなオプションだと思いますが、最近発売になったIbanezのAZシリーズでも実質的に同じ木材が採用されています。

ざっと調べただけでも、Suhr以外でも以下のモデルで採用されているのが確認できます。

Ibanez AZシリーズ(S-Tech wood)
AZ2402Q(Prestige、4桁モデル)
AZ224F(Premium、3桁モデル)

Jackson Misha Mansoorモデル(Caramelized Maple/Caramelized Alder)
Juggernaut HT6FM
Juggernaut HT6

Ernie Ball Music Man JP15/JP16(Roasted Maple)
JP15
JP16

Charvel Guthrie Govanモデル(Caramelized wood)
Guthrie Govan Signature HSH Flame Maple
Guthrie Govan Signature HSH Caramelized Ash


また、ハイエンドモデルだけではなく、廉価版のモデルでも採用が少しずつ広がっているように思います。
Sterling by Music Man JP150/JP157/JV60
JP150
JP157
JV60
加工に一手間かかるわけで、もちろん安価な入門機にまで全てに採用することは無理ですが、コア、バールメイプルなどの超高級な木材のようにごく一部のハイエンドにしか採用されない、というわけでもありません。


また、具体的なモデルに限らず、メーカーとして加熱処理した木材を使用する動きが広がっていることが、以下の記事で分かります。
T's Guitars【2018ギター工房放浪記。】
フジゲン【2018ギター工房放浪記。】


メイプルという木材を加熱加工して水分を除去するという基本的な手法はどれも同じですが、メーカーによって
Roasted Maple
Caramelized Maple
Chocolate Maple
など呼び方が少しずつ異なるのも面白いですね。他にはBaked Maple、Cooked Mapleなどの言い方も動画などを見てると確認できます。

また、ネック材だけでなく、ボディ材を加熱処理する傾向も広まっていることが見て取れます。
Misha Mansoorモデル(ボディにCaramelized Mahoganyを使用)、Guthrie Govanモデル(ボディにCaramelized Basswoodを使用)などはボディにも火が入っている良い例かと思います。

Roasted Mapleの良いところは、気候の変動の影響を受けにくいことです。Guthrie Govanによればロシアに行ったあとにインドネシアでクリニックを行ってもネックが全然ねじれない、ということを言っていましたが、気温や湿度の変動が大きい日本ではその恩恵も大きいかと思います。
とはいえ、世界中を日常的にツアーで飛び回るギタリストというのは、一体ギタリスト全体の何%いるのでしょうか。。。日本では国内でも湿度や気温の変化が大きいですが、毎日のようにネックの反りをmm単位で調整し続けて、、、というギタリストは少数派かもしれません。

個人的にそれ以上に大きいと思う利点は、ローステッド加工により、木材の個体の違いによるネックの差がなくなることではないかと思います。よくアタリの楽器、ハズレの楽器などという言い方をしますが、ネックやボディの木材が安定することにより、そういった要因に振り回されることが少なくなるのではと思います。
また、加熱加工によりハズレの木材を取り除くことにより、木材の無駄遣いを減らすことができるのではというもの大きな利点だと感じます。良質な木材の減少は常々言われていることですが、今取れる木材をより長く活用できる方向に加工していくことで無駄な木材の伐採を減らすことが出来ることを個人的には期待します。

Ibanez AZシリーズ発売にあたり、Roasted Mapleに対する思いをまとめてみました。

teshima

テーマ : ギター
ジャンル : 音楽

プロフィール

nobuteshima

Author:nobuteshima
ここはギタリスト・作曲家のteshimaのギター的・音楽的日々を綴っていくブログです。ライブ告知、機材レビュー、ギターや音楽についてのことなどを書いています。
ソロプロジェクト「enigmatic blue」、音楽制作団体「Clown Clan」などで活動しています。サポートギター、アレンジ制作、音源制作の依頼なども承っています。
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